景気の悪化するなか、株価が上がり続けています。株価の上昇が続いているほか、株価はは本来、景気と連動するとの考え方もあることから、今の株価上昇を「バブル」と指摘する声もあるようです。
バブルとは、1986年から90年にかけて株価や地価などの資産価格が大きく上昇し、その後、大きく(かつ長きにわたり)下落したことを例にとった表現です。資産価格が膨らんだ(上昇した)後にしぼむ様子が、泡(バブル)と似ていることが語源とされています。
バブルの語源が、膨らんだ後にしぼむ泡の様子にあることから、今の株価上昇がバブルであると指摘する方は、いずれ株価は下落する、ということを暗に主張していることになります。
株価は上がる時もあれば下がる時もありますので、株価が上昇しているときに、今の株価上昇はバブルである、と指摘し続けていれば、その指摘はいつか現実のものとなります。ただ、株価上昇がバブルであるとの指摘は、いつバブルがしぼむ(もしくは弾ける)かを示していません。
仮に、今の株価上昇がバブルで、1年後にバブルがしぼむとしましょう。この場合、たとえ今がバブルであっても、1年後がやってくるまで株式を保有していれば、利益を得ることができます。バブルがしぼむ時期が1週間後であっても、あと1週間は株式を保有していても問題ないことになります。
つまり大事なことは、今の株価上昇がバブルかどうか、ということではなく、上昇している株価は、いつ下落に転ずるか、ということになります。ただ、下落に転ずるタイミングを、的確に予想できる方は、現実には存在しないと思います。
株式市場について詳しくない方の中には、株式市場で資金を運用している方々(いわゆるプロ)であれば、株価が下落するタイミングを予想できると思っているかもしれません。しかし、たとえプロであっても、事前に株価下落のタイミングを予想することはできません。
プロができることは、事前にタイミングを予想することではなく、株価の下落が長期化しそうだ、今後しばらくは株価が戻りそうもないなどと判断した時に、保有している株式を売ってしまうことです。こうすれば株価が下落しても、売ってしまっているので、下落による損失を回避することができます。
ただ、バブルがしぼむことは、しばらく時間がたってから(事後に)わかることです。株価が下げたとしても、しばらくしたら株価が上昇に転ずることもあります。この前(下落時)に株式を売ってしまうと、株価が再び上昇した時に得られるであろう利益(もしくは損失の回復)を取り逃すことになります。いま目の前で起きている株価の下落が、バブルのしぼみを意味するのかしないのかを的確に判断できなければ、株価が下がったから売る、というやり方は役に立ちません。
今の株価上昇がバブルであるとの指摘が役に立つのは、株式での資産運用を成功に導くためではなく、株式で資産運用する人々の思考を把握する時かもしれません。
人々は、(株式に限ったことではないですが)資産運用のためになんらかの判断をします。そして、人々の多くは、なんらかの判断をする際に根拠を必要とします。今の株価上昇がバブルである、との指摘があるにもかかわらず、その後も株価が上昇しているとすれば、株式での資産運用をする人々は、バブルを指摘する人々とは違う根拠を持っていると考えられます。
その根拠は、今後も上がりそうだと思ったから、といった内容かもしれません。この場合、(根拠はあるようでないに等しいですが)株価が上がり続けるかどうかは、人々の感覚に委ねられます。
しかし、株式運用する方の中には、もっと具体的な、合理的な、説得力のある根拠を持つ方もいるかもしれません。さらに、その根拠が人々の間で共有されていなければ、たとえバブルを指摘する声が強まったとしても、その根拠を持つ方は株式を保有し続けるか、もしくは買い増すかもしれません。
この場合、株価が上がり続けるかどうかは、株式運用する方が考える根拠が、現実の社会や経済において正しいものかどうかに委ねられます。正しければ、根拠は現実のものとなり、根拠に基づいて選ばれた株式の価格(株価)は上昇するでしょう。そして、この場合、今の株価上昇はバブルである、と指摘した方が間違っていたことも意味します。
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